扶養親族等申告書は令和9年分から送付基準と源泉徴収基準が別物に。届いても出さなくていい人の条件、マイナポータルでの電子申請手順、出し忘れたときの影響まで徹底解説
2026年9月下旬、日本年金機構から「令和9年分 扶養親族等申告書」が一斉に発送された。年金受給者の手元にこの封書が届く季節になると、毎年決まってSNSや掲示板には「これ何?」「書かなくていい?」「去年出したのに今年も来た」といった声が並ぶ。だが今年は、例年とは事情が異なる。日本年金機構の公式情報および報道各社の整理によると、令和9年分から「申告書が送付される基準」と「所得税の源泉徴収における扶養控除等の適用基準」が別物として扱われるようになり、ここを混同したまま書類を放置する人が続出しかねない状況なのだ。
実際、令和9年分は「所得税がかからないから」と申告書を出さずにいると、住民税の段階で扶養控除が反映されず、翌年の納付額が想定より膨らむケースが指摘されている。提出期限は10月20日。本稿では、2年目の電子申請を実際に経験した立場からの実感を交えつつ、届く人と届かない人の分岐、出さなくていい人の条件、マイナポータルでの手続き手順、そして出し忘れた場合の再発行の流れまでを、公式資料に基づいて整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:令和9年分から「送付基準」と「源泉徴収基準」が分離。所得税非課税でも住民税が課税される人は提出が必要になる。
- 要点2:配偶者の所得要件は62万円以下(令和8年分は58万円以下)。障害者控除は「普通障害」と「特別障害」で区分が異なる。
- 要点3:提出期限は10月20日。マイナポータルで電子申請が完結する一方、出し忘れると扶養控除が反映されず住民税が増える可能性がある。
【2026年最新】扶養親族等申告書とは何か——「届く人」の送付基準が変わった理由
扶養親族等申告書は、公的年金等の受給者が「自分が扶養している配偶者や親族がいるか」「その中に障害者に該当する人がいるか」を日本年金機構に報告するための書類だ。この申告内容をもとに、年金の支払い時に所得税の源泉徴収が行われる。いわば「年金版の扶養控除等申告書」であり、国税庁が給与所得者向けに用意している扶養控除等申告書と同じく、控除の適用に必要な申告の仕組みである。
例年との違いは、日本年金機構が公表している送付の考え方にある。従来は「所得税の源泉徴収で扶養控除が反映される人」を中心に送付する運用だったが、令和9年分では送付基準と源泉徴収基準が別物として整理された。背景には、所得税では非課税でも住民税では課税される層が一定数存在することがある。所得税がかからないことを理由に申告書を出さないと、住民税の計算で扶養控除が反映されず、結果として税負担が増える。このズレを解消するために、送付の範囲と源泉徴収の適用範囲を切り分ける必要が生じた、というのが公式資料から読み取れる構造的な理由だ。
実際、令和9年分は「届く人が増えた」と複数の解説メディアが報じている。前年まで届かなかった層にも封書が届くようになったため、「自分は対象外のはずなのに」と戸惑う声が上がっている。だが、届いたこと自体は「必ず提出しなければならない」ことを意味しない。次の章で、出さなくていい人の条件を明確に切り分ける。
【保存版】扶養親族等申告書を「出さなくていい人」の条件と届く人の見分け方
まず結論から整理する。出さなくていい人に該当するのは、大きく分けて次のケースだ。第一に、扶養している配偶者も扶養親族もいない人。第二に、扶養家族はいるが、所得税の源泉徴収における控除の適用をあえて受けない人。そして第三に、前年分で提出済みで内容に変更がない人、と説明されることが多い。ただし第三のケースは誤解を招きやすい。日本年金機構の運用では、申告書は毎年提出が求められるのが原則であり、「去年出したから今年は不要」と一律に言い切れるものではない。内容に変更がなければ省略できる運用が一部で案内されることはあるが、届いた封書に記載された案内を優先して確認するのが安全だ。
一方、「届く人」の判定は送付基準に基づく。扶養親族等申告書の送付対象は、年金受給者本人が扶養している配偶者(所得額が62万円以下、令和8年分は58万円以下)や扶養親族の有無、障害者の該当状況などによって決まる。ここで注意したいのは、配偶者の所得要件が段階的に見直されている点だ。令和8年分は58万円以下、令和9年分は62万円以下という具合に、年度によって基準額が動く。自分の配偶者の所得がボーダー付近にある人は、前年と同じ感覚で判断せず、その年の基準額を必ず確認したい。
障害者控除については、所得税の源泉徴収における「障害者」が「普通障害」と「特別障害」に分かれている。申告書の記入欄もこの区分に対応しており、該当する区分を誤ると控除額が変わる。身体障害者手帳の等級や療育手帳の判定など、区分の根拠となる書類を手元に用意したうえで記入するのが確実だ。
【比較表】令和8年分と令和9年分で何が変わった?送付基準・源泉徴収基準・配偶者所得の早見表
変更点を一目で把握できるよう、公式情報と報道各社の整理をもとに要点を対照表にまとめた。特に「送付基準と源泉徴収基準の分離」と「配偶者所得要件の変動」は、今年の申告書を判断するうえで外せない論点である。
| 項目 | 令和8年分 | 令和9年分 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 送付基準と源泉徴収基準の関係 | 実質的に連動 | 別物として分離 | 所得税非課税でも住民税課税なら提出が必要になる場合がある |
| 配偶者の所得要件 | 58万円以下 | 62万円以下 | ボーダー付近の世帯は年度ごとの確認が必須 |
| 障害者控除の区分 | 普通障害・特別障害 | 普通障害・特別障害 | 区分を誤ると控除額が変動する |
| 提出期限 | 10月20日 | 10月20日 | 期限後の提出は再発行や来年分の扱いに影響 |
| 電子申請の窓口 | マイナポータル | マイナポータル | 署名用電子証明書とマイナアプリの設定が必要 |
この表から読み取れるのは、制度の骨格自体は大きく変わっていないという点だ。しかし「送付基準と源泉徴収基準が別物になった」という一点が、実務上の判断を難しくしている。これまでは「送付された=源泉徴収で控除が反映される対象」という理解でおおむね足りた。だが令和9年分は、送付されたからといって自動的に源泉徴収へ反映されるわけではなく、提出したうえで初めて控除が適用される流れが明確になった。この構造変化を理解せずに封書を放置するのが、最も避けたい失敗パターンである。
【手順解説】マイナポータルで扶養親族等申告書を電子申請する方法——ペーパーレス登録の落とし穴
日本年金機構は、扶養親族等申告書の電子申請にマイナポータルを利用する仕組みを用意している。紙の申告書に記入して郵送する方法もあるが、電子申請なら入力内容の確認や修正がその場で完結し、再発行の手間も省ける。ただし、利用には事前の準備が要る。具体的には署名用電子証明書とマイナアプリの設定が必要で、これらが未設定のまま手続きに進もうとして挫折する人が少なくない。
2年目の提出を経験した実感として言えるのは、初回さえ設定を済ませれば2回目以降のハードルは一気に下がるということだ。マイナポータルの画面は年度ごとに案内が更新されるため、前年のブックマークから辿るのではなく、その年の案内に沿って進むのが確実である。また、日本年金機構はペーパーレス化登録の仕組みも案内している。これを登録しておくと、翌年以降の申告書が紙で送付されず、マイナポータル上で確認・提出する流れに切り替わる。紙の封書を毎年処理する手間から解放される一方、登録したことを忘れて「今年は届かない」と慌てるケースもあるため、登録状況は自分で把握しておきたい。
入力の際に押さえるべきポイントは3つある。第一に、配偶者の所得額をその年の基準額(令和9年分は62万円以下)と照合すること。第二に、障害者控除の該当がある場合は普通障害・特別障害の区分を正確に選ぶこと。第三に、扶養親族の人数と続柄を申告書の様式どおりに記載すること。国税庁が公開している扶養控除等申告書の記載例は、氏名や続柄の書き方の参考になる。年金受給者向けの様式とは項目が異なるが、扶養の考え方の基本は共通しているため、記入に迷ったときの副教材として活用できる。
【失敗談から学ぶ】提出期限10月20日を過ぎた・出し忘れたときの影響と再発行の流れ
提出期限は10月20日だ。この期限を過ぎると何が起きるのか。最も影響が大きいのは、扶養控除等が源泉徴収に反映されず、年金の支払い時に控除が受けられない期間が生じる点である。結果として、本来より多い税額が源泉徴収され、後から精算する手間が発生する。さらに、所得税が非課税で住民税のみ課税される層の場合、申告書を出さないことで住民税の計算に扶養控除が反映されず、翌年度の住民税額が増える可能性が指摘されている。これが「出し忘れ」の実害だ。
出し忘れに気づいた場合、日本年金機構に問い合わせれば申告書の再発行を依頼できる。ただし、再発行には日数がかかるうえ、期限後の提出となるため、その年分の源泉徴収への反映時期がずれ込むことがある。電子申請の場合はマイナポータルから再取得できるケースもあるが、紙で受け取った人は紛失した時点で問い合わせるのが早道だ。「期限を過ぎたからもう出さなくていい」と諦めるのではなく、翌年分の住民税に響く前に手続きを済ませたい。
年金受給者の中には「確定申告をしているから申告書は不要」と考える人もいる。だが、確定申告と扶養親族等申告書は目的が異なる。確定申告は年間の所得を精算する手続きであり、扶養親族等申告書は源泉徴収の段階で控除を反映させるための手続きだ。また、年金受給者の住民税の申告が必要なケースでは、扶養の状況を正しく届け出ているかが課税額に直結する。確定申告をしている人でも、扶養親族等申告書の提出が不要とは限らない点には注意が必要だ。
【扶養親族等申告書】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:令和9年分の扶養親族等申告書が届いたけれど、所得税がかからないので出さなくていいですか?
A1:所得税が非課税でも、住民税が課税される場合は提出が必要になることがあります。令和9年分から送付基準と源泉徴収基準が別物として扱われるため、届いた封書の案内を確認し、住民税への影響を踏まえて判断してください。
Q2:配偶者の所得が62万円を少し超えています。扶養に入れられますか?
A2:令和9年分の配偶者の所得要件は62万円以下です。超えている場合は扶養親族等申告書の配偶者欄の対象外となります。令和8年分は58万円以下だったため、前年の感覚で判断せず、その年の基準額を確認してください。
Q3:マイナポータルで電子申請するには何が必要ですか?
A3:署名用電子証明書とマイナアプリの設定が必要です。初回は設定に手間がかかりますが、一度済ませれば2回目以降はスムーズです。ペーパーレス化登録をしておくと翌年以降の紙の送付を止められます。
Q4:提出期限の10月20日を過ぎてしまいました。もう出せませんか?
A4:期限後でも提出自体は可能です。ただし源泉徴収への反映時期がずれ込むことがあります。申告書を紛失した場合は日本年金機構に再発行を依頼してください。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
令和9年分の扶養親族等申告書は、「届いたかどうか」ではなく「自分がどの基準に該当するか」で判断する時代に入った。送付基準と源泉徴収基準が分離されたことで、所得税が非課税だからといって放置すると、住民税の段階で扶養控除が反映されないリスクが生じる。判断の軸は3つだ。第一に、扶養している配偶者・親族がいるか。第二に、配偶者の所得がその年の基準額(令和9年分は62万円以下)に収まっているか。第三に、障害者控除の普通障害・特別障害の区分に該当があるか。この3点を確認し、該当するなら10月20日までにマイナポータルまたは紙で提出する。該当しないなら、封書の案内に従って不要と判断してよい。
電子申請は初回の設定さえ越えれば2年目以降の負担が軽くなる。ペーパーレス化登録を済ませれば、来年以降は紙の封書を探す手間そのものがなくなる。逆に、紙の処理に不安がある人は、期限直前 rather than 期限ぎりぎりにまとめて対応せず、届いた時点で扶養状況を確認する習慣をつけたい。制度は毎年のように基準額が動く。前年の記憶に頼らず、その年の公式案内を起点に判断することが、結果として税負担を増やさない最も確実な方法である。 (出典: 扶養 親族 等 申告 書(Yahoo!ニュース))